東北一の名峰と謂われる鳥海山は、横浜に住む私にとって、遥かに遠く最も気になる未踏の山でした。というのは、私は鳥海という姓を持つからです。ということで今回は格別の意気込みでやって参りました。はるばる山形まで来たついでに、翌日に月山、翌々日は蔵王山に登ることにしました。今回は登山口の駐車場で車中泊を繰り返す、といった貧乏山旅行です(笑)。
鳥海公園道路湯ノ台滝の小屋線の終点が駐車場となっていて、この駐車場の入口手前左側に登山口があった(左の写真の赤矢印)。登山口の向かい側には、身障者用もある立派な公衆トイレがあった。左の写真は下山時に撮影したもの。
午前4時30分、ヘッドライトを点けて登山道入口に立つと、「懐中電灯を忘れたので、同行しても良いか」と声をかけられた。鳥海山は何度も登ったこことがあると言う地元のお爺さんで、滝ノ小屋の上でご来光を見たいとのことだった。もちろん快諾し、いっしょに歩き始めた。お爺さんは天気予報を聞いてこなかったようで、今日の天気予報は「午前中曇り、昼頃から雨」と私が話したら、がっかりして途中で帰ってしまった。
よく整備された登山道を15分あまり登ったところにある滝ノ小屋。左の写真は夜のように写っているが、既に空は白々と明るくなっている。ここから河原宿小屋まで少し急な坂道(八丁坂)が続く。ここはご来光を見ることができるようで、曇天ながら大きく展望が開け、眼下に酒田市の灯明が見えた。多少なりとも展望が得られたのはのはここまでだった。
河原宿小屋。小屋の管理人さんと目が合ったので、会釈して通り過ぎた。ここにも公衆トイレあり。この上部で、この小屋に宿泊された夫婦と、挨拶を交わした。
夏道は雪渓からかなり離れたところに露出していた。私は夏道ではなく、予定通り雪渓を歩くことにした。しかし想像していたよりも雪が硬く、アイゼンなしでは時間がかかるので、雪渓に沿って登ることにした。
視界が悪いときは、下部の大雪渓は山に向かって左側を、上部の小雪渓は右側を歩けば間違いない、とガイドブックに書かれてあった。今日も霧が深く視界はせいぜい30m。
ガイドブックに書かれていた通りに登って行ったのだが、なんと三つ目の雪渓が出現した。これが小雪渓ならば、反対側に立っていることになる。雪解けで雪渓が分断されたにちがいない。ここで夏道を登ってきた30代くらいの夫婦に出会った。彼らも道が判らないという。下山時に判ったのであるが、ここで雪渓をトラバースすれば良かったのである。視界がよければ、雪渓反対側にマーキングやケルンが見えたはずである。
その時は道探しを分担し、私は雪渓をそのまま上部に詰めていった。同じように道迷いする人はいるようで、かすかな踏み跡がところどころ見られた。かなりヤブっぽいところを通過し、ようやく夏道を示すマーキングを発見した。大声で「こっちですよ」と声をかけて、私は先に進んだ。
主稜線に出て起伏の少ない道を30分ほど歩くと、山頂を示す道標がある。この少し手前で単独行の男性に出会いお話をした。やはり道に迷ったそうで、その人は「不親切な山だなぁ」とぼやいていた。もっとも視界が良く、夏道をはずさずに進めば、苦労することなど全く無いのである(ということが下山する時に判った)。
鳥海山の最高峰である新山はここから一度、鎖のある坂をしばらく下って登りかえすのである。まさかこんな急坂を下るとは思わなかった。
山頂へ向かう前に小屋へ立ち寄り、しばらく休憩した。
山頂への登山道は巨岩が積み重なったかなり険しい道が続き、慎重に足を運んだ。左のように胎内くぐりというトンネルももある。
ようやく鳥海山(新山)山頂に到着。想像以上に苦労したので、感慨もひとしおである。山頂は狭く、後続のパーティもいたので、すぐに退去することにした。
新山の北にある七高山にも立ち寄った。一緒に道探しをした夫婦や、滝ノ小屋に泊まった夫婦が休んでいた。彼らはこれから新山に向かうとのことだった。
下山は夏道を忠実に下っていったので、まったく問題なく下山できた。下山時もガスが深く、雪渓は見えたり見えなかったりで、私が登る際いったいどこをどう登ったのか、把握できなかった。
河原宿小屋付近は、今でもニッコウキスゲが咲いていた。雨が降らなかったのは幸いであるが、展望は得ることができず、これでは鳥海山を登った気分にはなれない。私は再訪することを誓った。
日帰り温泉「ゆりんこ」で汗を流した。内湯の他にサウナと露天風呂がある。入浴料は350円で返却式コインローカーもあって、経済的である。344号線と345号線のT字交差点の近くの八幡神社の脇の道を入って行くのであるが、大通りに面していないため、少々場所がわかり難い。オフィシャルページには地図もないし、しかも付近では新しい道路を建設中だったので、訪れる際は十分下調べすることをお勧めする。
ここで2時間近く温泉に浸かり、併設の食事処でカツ重を食べた。私はBMI値20未満を維持するため、このような高カロリーな食事は、山に登った時だけにしている。
その後スーパーで、今夜の酒の肴と明日の朝食や行動食などを購入し、明日の山「月山」八合目登山口へ向かった。