白尾山・皿伏山・尾瀬沼・尾瀬ヶ原

西暦高度の山に登る

悠々独歩 No.92 2003/11/02〜03

2日 富士見下−富士見小屋・アヤメ平往復−白尾山−皿伏山−尾瀬沼−見晴(幕営)
3日 尾瀬ヶ原周遊−八木沢新道−富士見小屋−富士見下

今年は自分の誕生日に誕生標高の山に登り、そのついでというわけではないのですが、西暦標高の山にも登って見たいと思うようになりました。今年は西暦2003年、2003mの山を調べると、名の知れた山の筆頭は越後駒ケ岳です。続いて今回登った尾瀬の白尾山。尾瀬は前回訪れたばかりですが、私はどうしても尾瀬とその周辺の山に惹かれてしまいます。前回の尾瀬は急ぎ足で、ゆっくり尾瀬を楽しみたいという思いが残り、白尾山から尾瀬に入ることにしました。

今回は初日と翌日の早朝まですばらしい天気に恵まれたというのに、カメラが故障してしまいました。綺麗な写真がたくさん撮れたのにと残念と思う反面、カメラがないと妙にさばさばした気分にもなりました。美しい景色は、心の印画紙にしっかりと焼き付けてきたからです。

11月02日

林道途中にて前夜、富士見下山荘跡の駐車場に到着し車中泊。駐車した車は私の車を含め、3台だけ。鳩待峠の混雑とは雲泥の差である。

午前5時40分、駐車場を出発、途中の水場で朝食を摂り、7時55分富士見小屋に到着した。富士見小屋のすぐ下にある水場は、涸れたのか、あるいは栓が閉じられてしまったのか、水が出ていなかった。

富士見小屋からカメラだけ持って、アヤメ平に向かった。

富士見小屋の上にある湿原

富士見小屋のすぐに上の池塘。目の醒めるような美しさだった。絵画のような空間はしんと静まり返って、音を出すのがはばかれるほどである。

アヤメ平もすばらしい景色だった。ここで撮影しようとしたところデジカメのシャッターが切れない。設定を変え、メモリカードや電池を換えてもカメラは動作してくれなかった。レポートを読んで下さる方には申し訳ないと思うが、ここからは私の拙劣な文章だけになってしまう。

富士見小屋から白尾山に至る道は、思いのほか展望が良い。白尾山山頂では、ご来光を見ることもできる。白尾山でしばしくつろいでいると、単独行の登山者が現れた。ラジオを鳴らしているので、早々にその場を立ち去ることにした。

白尾山から先は鬱蒼とした樹林帯に入り遠望は得られない。来春この一帯をスキー山行する予定なので、地形を頭に入れながら歩いた。この一帯は地形図で想像したより複雑な地形をしている。

皿伏山の頂上は、山頂というより登山道の途中といった趣である。朽ちたベンチがひとつ、腰をおろしていると、先ほどの登山者が鈴とラジオ鳴らしながらやってきた。私は山中では下界の雑音は聞きたくないので、追われるようにその場を発った。しかしこれではこの先々で追い立てられることになる。歩行速度を落とし、その登山者に道を譲り先に行ってもらうことにした。

大清水平は想像していたよりはるかに大きな湿原だった。ここで私は独りの時間を30分以上過ごすことができた。青い尾瀬沼池畔を歩き、沼尻から段小屋坂に向かった。ここは2週間前に歩いたばかりであるが、歩く方向が反対だと別の道を歩いているような気がするものである。

見晴(下田代十字路)のキャンプ場はすでに閉鎖されていて、水場やトイレは使用できない。そのかわり無料である。小屋もすべて閉じているようだった。この日キャンプ場のテントは私のを含め6張りだった。

11月03日

午前5時40分、空が仄白くなる頃、ヘッドランプを点け尾瀬ヶ原を歩き始めた。夜明け前の尾瀬ヶ原は朝靄が立ち込め、すばらしく幻想的だった。振り返れば燧ヶ岳の背後が美しく朝焼けに染まっている。広大な尾瀬ヶ原は、私独りだけだった。

キャンプ場に戻りテントを撤収し、富士見峠に向かって歩きはじめた。先ほどまで快晴だった空は、しだいに厚い雲に閉ざされてしまった。踏み板が撤去され鉄骨だけになった沼尻川橋を渡り、道標のある水場に到着するころに小雨が降り始めた。

富士見峠手前の道は十二曲りというので、本当に12あるか数えてみることにした。三つ四つと数えているうち、別の事を考えてしまい分からなくなってしまった。(高尚なことを考えたわけではない。)

富士見小屋の軒先で雨宿りしていると、単独行の登山者が白尾山に向かって歩いて行った。彼も西暦標高の山を目指しているのかもしれない。

富士見下駐車場手前の坂も十二曲りと言う。今度こそはしっかりカーブの数を数えようと試みたが、やっぱり途中で別の事考えていて分からなくなってしまった。(再び、高尚なことを考えたわけではない。)

今日は三連休の最終日なので、渋滞が予想される高速道路にはのらず、一般道の抜け道を通ることにした。尾瀬戸倉から東京都区内まで(決して飛ばさず)4時間40分だった。高速道路を走るより、早く帰着できたと思う。

のんびり運転していると、車のラジオからピアノ五重奏「鱒」が流れた。段小屋坂を横切る小さな小川の煌きが脳裏に蘇った。


山のページトップ   軽い山道具   ホーム